■『ファイナルクエスト4』 バババーババの姉妹 第八話
「ドッヒャ――――ッ!!」
強烈な爆風によってヤングは壁にたたき付けられた。
「……む、むう、、、無人の爆発兵器じゃと、、、?」
この世界は魔術が発展していた代わりに、科学技術という物はあまり進展していない。そのため爆発物(火薬)等はまだ存在していなかった。
かつてのセンルイのように、科学的な研究をしている(していた)者も皆無ではないのだが、どちらかというとバイオテクノロジーの方面なので、火力兵器のようなものは対象外なのだ。
(3に出てきたビーエルのマッドサイエンティスト・ジェシカ博士はまだ幼少)
そのため、武装兵士であるヤングは敵の魔導師が使う爆発の呪文への対抗策(抗魔法)は身に付けていたが、罠という無人の物体から放たれる爆発には抵抗する術を持っていなかったため、まともに爆発を喰らってしまった。
「つぅっ、、、やれやれ、、、年寄りはいたわってほしいわい、、、それにしても、こんな罠があるとは。魔術の式を物体に込めたという訳か、、、センルイが聞いたら喜びそうな話じゃな。喰らったほうはたまらんが、、、
しかし、爆発の規模が小さくて命拾いしたわい、、、
ピラミッド内を破壊してしまわぬ程度の威力に調整されていたって事かの。それでも、わしのように強靭なマッスルボディでない人間ならば致命傷だったじゃろうな、、、
おやっ?」
説明口調の独り言を言いながら起き上がろうとしたヤングは、薄れゆく爆煙の向こうの人影に気づいた。
???「……おやおや、まだ生きとるとはしぶといジジイじゃのう」
ヤング「…あいにく体は丈夫なんでな、、、って、貴様、長老か!? ピ、ピローニャはどこじゃッ!?」
*長老だけあって只ならぬ魔力を持っていそうだぞ!
長老「ククク、、、心配せずともあの赤子ならこの奥で丁重に保管しておるわ。何せ貴重な供物じゃからなあ、、、ククク!」
ヤング「保管!?それに供物じゃと!? どういう意味じゃ!? 貴様ピローニャをどうする気じゃ!?」
長老「ククク、、、言葉どおりの意味じゃよ。バババーババの民は純血でなければならぬ。今じゃ名前すら忘れ去られた王朝に仕えてきた時から守り抜いてきた掟、、、
じゃが、どんなに厳しい掟だろうと、長い歴史の中では稀にそれを破る馬鹿もいたのじゃ。そう、お前らのようにな、、、
しかし、そんな馬鹿共が出た後も、一族には純血の者しか存在していない。ここまで言えばお前の呆けた頭でもわかるじゃろ。ククク、、、」
ヤング「貴様! 供物ってまさかピローニャを生贄か何かにして殺める気か!? そんな事はさせんぞ! 今すぐピローニャを返せ! わしの封印された右腕が騒ぎ出す前にな!」
*ヤングの封印された右手が開放されたのを見た者はまだいない。
長老「……封印された右腕、、、相変わらず厨二病は治ってないようじゃのう、、、まあいい、、、 今から三十年前にも掟を破った馬鹿がおったんじゃ、、、」
ヤング「…? そんな話はどうでもいいから早く返せ!」
長老「黙れ小僧!」
ヤング「む、むうっ、、、! (なんじゃこの感覚は、、、怪しい婆さんの話など聞いてる場合ではないというのに逆らえん、、、!これも長老の魔力なのか、、、?
まるでもののけじゃわい、、、)」
長老「……三十年前、正確に言うと三十二年前、
今では廃止されているのじゃが、当時のバババーババでは、ミコミコガーディアンを除く年頃の娘は16歳の誕生日から一年間、素性を隠して他所の土地で暮らすという風習があったのじゃ。
バババーババの女は掟などの都合上、閉鎖的にならざるを得ないのじゃが、嫁入り前に自力で生活し、他所の土地の文化なども学ぶ必要があると考えられていたんじゃな。素性を隠す理由はわからぬが。」
ヤング(ああ、そういえば聞いたことがあるのう。噂だと思っておったが誠じゃったのか、、、)
長老「その年は一人の該当する娘が、王都ビーエル赴くことになった。当時の王都は流浪の民も多かったし、なにしろ都会じゃ。娘は華やかな生活を味わってみたかったんじゃろな。」
ヤング(確かにあの頃は混沌としていたのう。だが活気に溢れておった、、、懐かしいわい。)
*「わぁ、大きい街だなあ」初めての土地に手荷物一つでやってきた娘。
長老「そして娘は王都にたどり着いた。素性のわからない娘を住まわせてくれる所、ましてや働かせてくれる場所はそうそうないのじゃが、運が良かったというかご都合主義というか
【急募!】
・職種‐踊り子(経験者優遇、未経験者可)
・資格‐16歳以上
・住み込み可(個室)
・三食まかない付き
・給与‐応相談(試用期間無し、即本採用)
という酒場を見つけることができたのじゃ。
酒場といってもそこは、町の大人連中が一杯引っ掛けるような所で、さほど治安も悪くはないようだったので、娘は迷わずそこにもぐりこんだのじゃ。もっとも、他に選択肢はなかったじゃろうがな。」
ヤング(酒場か、、、そういえばその頃のわしは武装兵団の駆け出しで、繁華街の警備をした事もあったのう。
軍務規定が厳しかったので、プライベートで行く事はなかったが、、、 はて、、、? 何かがひっかかる、、、)
*慣れてない時はうっかりポロリをしてしまった事もしばしば。
長老「娘は踊りの経験など全く無かったし、酒場という独特の雰囲気に馴染むまで色々大変だったが、特に重大なトラブルも無く、頑張って働き、平穏に暮らしておった。
……じゃが、三月ほど経った頃、その平穏も失われる事となる、、、
少し前から娘は、仕事が終わった後、近辺を散策するのを日課としていた。
最初は土地勘を養う為だったが、いつの間にか町外れにある今は誰もいない廃農場跡の原っぱで月を眺めるのが目的となっていた。
まだこちらに来てから三ヶ月しか経っていないのに、故郷バババーババがもの凄く遠く感じてしまう時がある。
だが、自分が見ているこの月は、バババーババの両親や友達も見ている月と同じなんだと思うと、離れてても繋がってるような気がして安心できたのじゃろうな、、、」
ヤング(……廃農場跡というと東のあそこか、、、)
長老「事件のあったその日も、娘は原っぱへ足を運んだ。
その夜は特に月が綺麗で、じっと見ていると吸い込まれそうなくらい輝いていたそうじゃ、、、
いつものように、月の光を浴びながら風の音に耳を澄ませていると、何やらやかましい声が近づいてきた。
ここは荒れた牧草が広がる他には、寂れた農具置き場の小屋が少しあるだけで街の連中も近寄らない。
こんなところに来るのは自分くらいだと思っていたし、事実、ここに通った数日間も誰一人として現れていない。
だが、いつもいないからといって、安心しきっていたのが仇となったのじゃよ、、、」
ヤング(……なぜかこの話をわしは知っている気がする、、、! じゃが、肝心な事が思い出せん、、、)
長老「その声の主は二人。何やら訳のわからない事を叫びながら娘に近づいてきたのじゃ。
予想外の来訪者に戸惑った娘は、当然身の危険を感じ、その場から逃げようとしたのだが、焦っていたせいか逃げ道のない小屋の方へ走ってしまい、あっさりと捕まってしまった!
朽ち果てた小屋の壁を背に追い詰められた娘は抵抗を試みるも、体が全く動かない。助けを呼ぼうにも恐怖で喉がひきつり声を出すことすらできない。仮に叫べても、ここでは誰も駆けつけてはくれないだろうし、余計に相手を刺激するのではないかという考えがよぎり、頭が真っ白になってしまったが、それでも声にならない声で叫んだのじゃ!
今更叫んでも遅いぞというような顔で男が口元を緩めた
その瞬間、娘は奇跡を目の当たりにした!」
ヤング(ゴクリ、、、やはりわしはこの話を知っておる! )
*娘視点↑
*ブラスター・オブ・ヤングはあらゆる物を無に返す!
長老「その男は疾風の如く現れ、あっという間に暴漢二人を撃退した! 奇跡じゃ、奇跡じゃ! なんという勇気と完璧な強さじゃ、、、娘は救われた、、、!」
ヤング「(そ、そうじゃ、、、! その勇敢で華麗な二枚目青年とはわしの事じゃ! 思い出したぞ! 確かにわしは警備の時、暴漢に襲われた娘さんを助けた事がある。そうか、その子はバババーババの娘だったのか、、、しかし、何故その話を今、、、?)
ババ様、いや、長老、その男がわしだという事を知った上で話したようじゃが、それが何か関係あるのか?」
長老「……やれやれ、、、まだ思い出さないようじゃな。もっとも、お前の記憶を消したのはわしら、バババーババの民なのじゃが、、、」
ヤング「……? 一体どういう事じゃ? 記憶を消したじゃと? 貴様らはそんな事までできるというのか!? そして、何故わしがそんな目に会わねばならなかったのじゃ?」
長老「質問の多い男じゃて、、、まあ、どっちにせよ、全てを思い出させる必要ができたからな、、、
そぉい!! 」
ヤング「うおおおおおおおお!?」
つづきます。
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- 2011.05.10 Tuesday
- 20:09
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- by かずーん
ヤングよお前はどこまでかっこいいのだよ・・・
量産型西くんがシュールで好きです^m^
娘さんも一発屋じゃないみたいだし
ヤングの行方も楽しみですな!!(^O^)/
次回も期待してますぞ!!\(~o~)/